産業競争力強化ファンド・・・コストだけ高く、期待の持てない投資信託

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産業競争力強化ファンド・・・名前だけ「強化」された高コスト投資信託

東芝を始めとした大企業の不祥事や倒産が相次ぎ、日本全体に閉塞感が漂う中で、イノベーションを推進する若い企業に期待したくなる気持ちはよく分かります。そんな中、金融機関側も様々な切り口で、金融商品を売りさばく必要があり、その一環として登場したのが「産業競争力強化ファンド」です。

産業競争力強化ファンド


実はこのファンド、設立数週間で600億円近くの資金を集めている、超人気商品です。まったく、誰が買っているのでしょうね。

それにしても、一時期はハイ・イールド債券の投資信託が大繁盛していましたが、このところは日本株をテーマにした人気ファンドが多いです。ロボット・テクノロジー関連株ファンドや、ジャパン・ストラテジック・バリューなどなど。日本株バブルの匂いが、プンプンと漂ってきますね。

(2016年1月14日公開)

 

産業競争力強化ファンドの基本的情報

購入手数料:最大3.24%(税込)販売会社はSMBC日興証券
信託報酬年1.5876%(税込)
信託財産留保額: なし
決算日:年1回(毎年12月26日)
・信託期間:2025年12月26日(設定日:2015年12月18日)
純資産総額:591億円(2016年1月時点)
運用会社:三井住友アセットマネジメント株式会社

投資先銘柄を見ると、ファンド運営者こそイノベーションが必要だと思ってしまう

産業競争力強化ファンドに投資する事で、「イノベーションを通じて日本の産業競争力強化を牽引する事が期待される日本国内の企業群」に、投資する事ができるようです。

アベノミクスを前面に押し出して、保有すれば何でも上がるかのような言い訳が苦しくなってきたのか、色々と新しい切り口をひねり出してきますね。

投資対象を選ぶ大きな考え方


金融機関側が盛りにもった美しい販売資料には、新規性が高い製品・サービスの提供を目指したり、ビジネスモデルを再構築した企業などにに注目して、資金を投じると記載されています。

最近は人口知能やIoTなど、新しい技術がニュースでも大々的に報じられています。何となく儲かりそうな投資信託をひたすら買い求める、頓珍漢な投資家のウケは良さそうです

念のため、ビジネスモデルを再構築した企業(新陳代謝)群の参考例を見てみると、トヨタ自動車やソフトバンクなど、大企業群が名を連ねています。

産業競争力強化ファンドの投資のイメージ


実際に投資信託として保有している銘柄は、日立製作所、セブン&アイ・ホールディングス、ソニー、日本電産などの名門ばかり。規模別の保有構成を見ても大型・中型株が全体の9割近くを占める状況です。正直、これで株式市場の平均的な数字を上回れるのか、甚だ疑問を感じます

誰もが投資するような銘柄しか探し出す能力の無い、金融機関関係者のアタマの中をイノベーションして頂いて、マトモな投資信託のみを提供できるような「新たなビジネスモデル」でも考えて頂きたいと思いますね。

産業競争力強化ファンドの投資先ポートフォリオ特性値

後出しジャンケンの、シミュレーション結果など相手にしてはならない

極め付けは、モデルポートフォリオのシミュレーション結果でしょうか。TOPIXの1.3倍程度のパフォーマンスを出せると言いたいのでしょうが、バックデータを利用した運用成績ほど信頼できないものはありません

適度にTOPIXを上回る銘柄だけ集めてきて、それでシミュレーションしてしまえば、ファンドの運営者でも大学生でも、まあ誰でもこのようなデータは後出しジャンケンで出来てしまいます。

管理人は今まで様々な投資信託を見てきましたが、偉そうなバックデータを持ちだして、さも儲かりそうなことを言うファンドに、マトモな成績を残せたものを見たことがありません。

産業競争力強化ファンドとTOPIXの過去のシミュレーション結果


笑えることに、TOPIXと比較しておきながら、運用目標となるベンチマークを設定していません。であればこんなもん、誰が信用できると言うのでしょうか? 所詮は、机上の空論になる可能性が高いという事です。

超低コストなETFを活用すると、確実に利益が増える事を具体的に解説

夢のある話しを前面に出してくる金融マンを信じて、クズのような(失礼!将来の運用成績をどうやって信用したら良いのか全く不明な)投資信託を選ぶよりも、単純にコストを徹底的にそぎ落とした投資信託を選んだ方が、確実に手に入る利益が増えます。

例えば当ファンドが頻繁に比較している、TOPIXに連動するETF、MAXISトピックス上場投信とコストを比較してみましょう。どうですか?数字だけみてもよく分かりませんかね?そんな人のために具体的に、投資資金別にコスト差を計算してみましょう。


カテゴリ ETFなどの名称 購入手数料 信託報酬
高コスト投資信託 産業競争力強化ファンド 3.24% 1.5876%
フリーETF MAXISトピックス上場投信 無料 ※ 0.08424%
(数字は税込みです)
※:カブドットコム証券では、手数料無料で買付可能です。



●100万円投資の時のコスト差
ファンド 5年間保有のトータルコスト 10年間保有のトータルコスト
産業競争力強化ファンド 11万1,780円 19万1,160円
MAXISトピックス上場投信 4,212円 8,424円
ETFとのコスト差 10万7,568円 18万2,736円


●300万円投資の時のコスト差
ファンド 5年間保有のトータルコスト 10年間保有のトータルコスト
産業競争力強化ファンド 33万5,340円 57万3,480円
MAXISトピックス上場投信 1万2,636円 2万5,272円
ETFとのコスト差 32万2,704円 54万8,208円


●500万円投資の時のコスト差
ファンド 5年間保有のトータルコスト 10年間保有のトータルコスト
産業競争力強化ファンド 55万8,900円 95万5,800円
MAXISトピックス上場投信 2万1,060円 4万2,120円
ETFとのコスト差 53万7,840円 91万3,680円


営業トークにコロッと騙されて、500万円程度の資金を10年程度保有したとしたら、それは典型的なカモ投資家の投資行動です。洗練された投資家であれば、金融関係者の甘い言葉に惑わされることなく、超低コストのETFを選ぶはずです。

そうすると10年後には、コストだけで90万円近くの差が出てくるのです。本来は我々の手元にあるはずだったお金が、ごっそりと金融機関に渡っている訳です。こんなに儲かるんだったら、「大切なお客様」として、しぶとく販売攻勢をかけてくるでしょうね。

資産運用の基本は、コストを徹底的にそぎ落とす事です。この点にも注意して、投資対象を冷徹に選んでいきましょう。営業マンの情熱と、あなたの投資成績には、まったく関係は無いのですから。





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