野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコースの評価と解説

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野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド・・・Aコースを例にとり、説明します

野村證券で猛烈に売れているとの噂を聞き、チェックしてみたところ、確かに野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドの売り上げが凄い勢いです。(ここではAコースを例にとりますが、本質的にはBコース、Cコース、Dコースとも、同じ内容になりますので、どうぞ参考にして下さい)

この最近のたったの3か月で、純資産総額が1500億円も集まってます。このペースだと・・・1兆円でも目指したいんですかねえ??? ・・・野村證券のこの「常軌を逸した」集金度合いには、毎度、驚かされます。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコースの基準価額と純資産残高の推移


超人気化した理由は、高インカムを狙った世界債券への投資、機動的に資産配分を調整するアクティブファンド、類似したファンドの成績が安定、といった3点のようです。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドのセールスポイント


これまで数百を超える「カモ向けファンド」を「目撃」してきた管理人からすると、突っ込みたくなるポイントばかりです。順番に、管理人が思うところを書いていきます。

(2017年7月28日公開)

 

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコースの基本的情報

購入手数料最大3.0%(税抜き)。
信託報酬年1.68%(税抜き)
信託財産留保額:なし
決算日:年2回(毎年4・10月16日)

・信託期間:平成38年4月16日(設定日:平成28年4月22日)
純資産総額:1,427億円(2017年7月時点)
運用会社:野村アセットマネジメント株式会社

・・・販売会社は野村證券マネックス証券SBI証券楽天証券など。いずれも3%の購入手数料がかかります。高すぎます。信託報酬もあまりにも高すぎる。

質の高いインカムを得るために、ハイリスクな債券に手を出している事は忘れなきよう

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドは、新興国を含む世界各国の各種の債券に投資します。下記のように、国債、政府機関債、社債、モーゲージ証券、資産担保証券、ハイ・イールド債券、企業向け貸付債権(バンクローン)など、かなり幅広い債券に資金を投じるコンセプトです。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドの投資先の債券の種類


多種多様な債券を組み入れた事で、インカム、つまり利回りをかなり高めた点がポイントになります。新興国債券並みの、利回り4.4%程度の水準に落ち着くという事らしいです。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドの利回りについて


質の高いインカムとの表現が、なんとなくカモ向けの言葉に聞こえますね。要はハイリスクな債券に資金を突っ込んで利回りを高めた事を、上手く言葉をすり替えているような印象です。

「高利回り=質の高い」と言いたいのでしょうが、金融の世界では「高利回り=高リスク」です。三段論法で言うと、「高リスク=質の高い」になってしまいます・笑。

特にハイ・イールド債券や、企業向け貸付債権(バンクローン)などのハイ・リスクな商品が、猛烈に気になる投資先です。下記の赤枠の投資セクターの部分です。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドの投資先債権の種類と内容


最新の月報をチェックすると、攻めの資産と明記されている上述のハイリスクな金融商品が、合計で49%近くあります。格付で言うと48%の債券が「投機的」となり、相当なリスクを取っています。

金融市場が今のように安定している時には何も問題はありませんが、景気が後退したり、何か市場に動揺が走った時には債券価格は暴落しかねませんので、注意してください。本来は、百戦錬磨の投資家が取り扱うような代物です。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドのポートフォリオ特性値


なお、ハイリスクな債券をごちゃ混ぜにして分散投資すれば、ポートフォリオ全体としては投資適格の格付BBBに収まる、「金融工学のマジック」を体現していますね。

リーマンショックで問題となった、「低所得者向けのローンをパックにして世界中の投資家に販売した手法に似ている」と、管理人は思っています。そのような視点で考えても、当ファンドはとてもお勧めできるようなものではありません。

ただ、今なら良いのかもしれませんね。市場が安定していますから。今のようなご時世に投資をして、金融市場が荒れそうになったら直ちに逃げ出すことのできるような投資家には、別に問題は無いのかもしれません。



ファンドの運用成績が良いのか悪いのか、全く判断がつかないのが最大の難点

金融機関側が用意した美しい販売資料を見ると、「PIMCOのマクロ経済分析能力を活かし、信用力が高い資産による「守り」と、高利回りで景気回復の恩恵を受ける「攻め」の配分を機動的かつ柔軟に調整します。」と記載されています。

つまり、相場の状況に応じて、最適な資産配分に積極的に調整するとの事のようです。はっきり言って、アクティブに資産を調整できると豪語してきたファンドで、好成績を残したファンドを見た事がありません。

しかも、参考指数やベンチマークを提示していないので、どのように成績が良いのか全く判断不能です。本ファンドに類似したファンドの運用方針の投資信託における資産配分の調整例が、下記のように掲載されています。これが常に本当に機能するのか、かなりの眉唾ものだというのが、管理人の考えです。

PIMCOのファンドの資産配分の推移


ちなみに、同様の運用方針を採用したファンドの長期に渡る過去のデータも掲載されています。リーマンショック時の損失幅が小さく、その後の市場回復期に好成績を叩き出しているとの事。

PIMCOのファンドの過去10年のリターン


しかし、こんなデータを見せられても、運用が上手く行っているのかダメダメなのか、一体どうやって判断するんですか???

こんなもん、もしも野村證券の社内でこんなデータを出して「成績良いっすよ」とか言おうもんなら、「お前は馬鹿か??」と一笑に付されるだけの超アホくさい比較表です。

こんなの、始点を2007年3月ではなくて、任意の場所に変更したら、いくらでもPIMCOファンドが良く見えたり悪く見えたりするものなのです。ベンチマークが異なるものを比較するときは、常にそのような「無意味な比較表」になりますので、よくよく注意しましょう。

しかも、日本円ではなくて米ドル建てでの比較表じゃないか。。。円ベースにしたらどんな成績になるのか、全く分からないじゃないか。・・・何か胡麻化しているんか??




ご丁寧にも、非常に小さな文字で、上記のような一文が書かれていました。あのようなデータを見せておいて、本ファンドの運用成績と関係ないです、という訳です。いい加減ですなあ。

もしもこのようなデータを見て「凄い」と感じてしまったとしたら、あなたは野村證券の絶好のカモですし、相場にいる投資家やトレーダー達の良い餌ですし、そもそも投資など全く不勉強か、向いていない人だとしか言えないと思います。氷水を浴びて、考え直しましょう。

本ファンドの代替えとなるものは、残念ながらありません

そもそも本ファンドには、ベンチマークがありません。となると、本ファンドの運用成績の良し悪しは、私たち個人投資家には一切判断できない事になります。

ベンチマークがありませんので、野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドの代替えになるような投資信託やETFはありません。

「しかしそれでは困る」と言うのであれば、結局のところ、全世界の株と債券に分散投資する事のできる、低コストのバランスファンドを買っておけば良いだけだと思います。

下記、本ファンドと、国際分散投資では代表的な2つのファンド、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(信託報酬0.68%)と世界経済インデックスファンド(同0.5%)、及び債券の比率を高めた世界経済インデックスファンド(債券シフト型)(同0.45%)のリターン比較です。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコースと、国際分散投資のバランスファンドとの比較


もちろんベンチマークが異なるので単純には比較できませんし、代替えとして提示したものは為替ヘッジ付きではないので、価格変動リスクは大きいですから、人によってはそれが耐えられないのかもしれませんね。

でもね、価格変動リスクを全く許容しなくて、それでも必ずもうかるファンド、などと心の底から強欲な事を考えると、本ファンドのようなボッタクリレベルの高コストファンドを買うしかなくなるのですよ。

今後、野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドの運用成績が、償還期限の10年間でどうなって行くのか、楽しみにチェックしていきたいと思います。

高コストの投資信託で、機動的に資産配分を変更するようなものが、資産形成の王道的な国際分散投資を貫いたインデックスファンドに勝てるとはとても思えません。10年後を楽しみにしていましょうね。

野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドがもしも勝利したとしたら・・・・それはそれでおめでとうございます! 調子に乗って墓穴を掘らないようにすれば、あなたはかなりのお金持ちになれるかもしれません!!

あーでも、そんな事には絶対にならないと思います。少し儲かったら、きっとあなたはそこで「利益確定」して、次のファンドに高いコストを支払って「乗り換える」はずですから。

野村證券の新たな「推奨銘柄」なども、次々に提案されるはずですからね。そんな場当たり的な投資をやってお金持ちになった人はほぼ皆無に近いですから、心して本ファンドと向き合っていただければと思います。




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