MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの評価と解説

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MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンド・・・特に利用するような価値は無し

サラリーマンの退職金、それは金融機関にとって宝の山。退職金を受け取った人は、普段手にしない大金を手に、どうしようか悩み始めます。そんなる時に、手を差し伸べるがごとく提案される金融商品が、今回ご紹介する「MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンド」です。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドには安定型、安定成長型、成長型の3つがあり、本ページでは最も純資産残高の多い成長型の評価をしてみます。ただし基本的には、安定型も安定成長型も本ページを見て頂くだけで本質的な部分は変わりませんので、どうぞ参考にしてください。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンド


それにしても本ファンド、販売資料を見るとこのような「特徴」のある投資信託だと書かれています。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの特徴


これって、運営開始当初から書かれていたのでしょうか? 退職金活用などと言って毎月分配型投信を売りつけてきたのが金融機関だと思うので、まるで手のひらを返したかのような印象を持ちます。

まさか、最近金融庁が毎月分配型投資信託を非常に問題視しているのに合わせて、アピールポイントを変えてきたのでしょうか? いくらなんでも対応が早すぎるので、うがった見方だとは思いますが。

(2017年6月30日公開)

 

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの基本的情報

購入手数料2.0%(税抜き)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行にて販売。ファンド名でも分かる通り、三菱系の金融機関の専用商品。

信託報酬年1.48%±0.2%(税込)
信託財産留保額:なし
決算日:年1回(毎年10月25日)

・信託期間:無期限 (設定日:2006年12月14日)
純資産総額:20億円(2017年6月時点)
運用会社:フィデリティ投信株式会社

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンド(成長型)の概要になります。安定型については、購入手数料は無く、ノーロードになります。

まず、MUFG・退職金活用ファンドの投資対象や資産配分を確認

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドは下記の6つの資産に分散投資する事になります。資産運用の王道である株、債券、不動産に投資する訳で、運用の方向性としては非常に良いと思います。

国内株式
海外株式
国内債券
海外債券(投資適格債を中心に、一部ハイ・イールド債券、エマージング債券を含みます)
⑤国内外の不動産投資信託(リート)
国内短期債券・短期金融商品

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの資産配分


機動的な資産配分の調整を原則として行わない方針のため、一度決めた資産配分を守りながら資産運用を続けるファンドとなります。アクティブに資産配分を変更しても、ヘボい運用成績になるファンドが非常に多いので、余計な事をしていない点は評価に値します。

6資産の配分比率は、「各資産の特性を考慮し、数百通りの相場変動シナリオ等を加味して検証を重ね」決まります。ただしどのファンドも似た事をしており、そこまで目新しい事ではないですね。

3つのタイプが用意されている投資信託である訳ですが、あなたがどのタイプを選ぶのかは、ご自身のリスク許容度によって変わってきます。どれが「良い」とか「悪い」などという事は無く、自分に合う資産配分のものを選ぶ事になります。

リスクとリターンで本ファンドを見てみると?

まず、本ファンドの資料を見ていて真っ先に首をひねったのが、下の図の部分です。3つのタイプ共に、期待されるリターンはほとんど変わらないように表示されています。

一方でリスクについては成長型は明らかに高いといっている訳で、期待リターンが安定型とあまり変わらず、リスクだけ一方的に高いのだったら選ぶ意味が無いじゃないかと感じました。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドのリスクリターン特性


リスクと言うのは非常に大事で、金融危機が起きた時に保有資産がどの程度の損失を被る可能性があるのか、あらかじめ想定することができます。下記チャートをご覧ください。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの基準価額の推移(過去10年)


赤枠で示したリーマンショックでは、世界的に経済が危機に陥りました。この時期では成長型の資産が10000円近辺から6000円以下にまで暴落し、▲40%の損失幅となっています。1年ちょっとで、資産が半分程度になる可能性が有り、ご自身がそれに耐えられるのか、今一度、自問自答が必要です。

ちなみに安定型だとしても▲20%の損失幅です。本来、リスクとリターンは表裏一体ですが、本ファンドについては、成長型を選んでも安定型を選んでも長期的にはパフォーマンスに大差がない結果となっており、どうも納得しがたい状況です。

恐らくですが、過去10年間の日本国債のリターンがかつてないほど高まってしまったため、結果として当初の予測とは異なる状況になっていると思われます。

リーマンショックを挟まない直近3年間での値動きを見ると、安定型、安定成長型、成長型共にそれぞれの特性に応じて価格が変動しており、特に問題があるようには感じません。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの基準価額の推移(直近3年)

ベンチマークとの差異が大きく、存在価値が無いと判断

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの目論見書を見る限りでは、下記の複合ベンチマークを目標とするアクティブファンドであるようです。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドのベンチマーク


アクティブ運用であるならば、ベンチマークに対してどれほど優れたパフォーマンスなのかがポイントです。という事で、月次報告書に記載されている運用実績のチャートをご覧ください。

MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドの運用実績とベンチマークとの差異


どうやったらこんなに、10年でこんなに大差がつくのか不思議でならないほどの負け方ですが、実は年間残すると、1.6%程度負けている勘定になります。信託報酬が1.5%近辺ですから、これはコストの分だけはキッチリとベンチマークに負けているという事になるかもしれません。

であるならば、当サイト(姉妹サイトも含め)で口を酸っぱくして申し上げている、「投資信託選びはとにかくコストだけで選んで構わない」という典型事例なのだと思います。

ちなみにこのファンド、もしもインデックスファンドだとしても、購入する価値はありません。コストの分だけ確実にベンチマークを下回るのですから、コストがかからない投資信託を買わないと、自分の儲けが絶対確実に減り続けるだけになりますから。

加えて本ファンドは、購入時に2%の手数料を三菱東京UFJ銀行などに支払わねばならず、ベンチマーク云々以前に、不利すぎて話になりません。

仮に1000万円の退職金を投入した場合、購入した瞬間に20万円の購入手数料と、毎年15万円のコストを金融機関に支払うわけで、馬鹿馬鹿しいにもほどがあります

今なら自分の好みの資産配分に応じた低コストなバランスファンドがたくさんありますし、ETFを利用して世界分散投資する事も簡単にできます。MUFG・フィデリティ・退職金活用ファンドのような高コスト商品を使わなくても、よほどまともな資産運用が実現できます。




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