グローバル・ロボティクス株式ファンドは猛烈な高コストで、金融機関が一人儲ける

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グローバル・ロボティクス株式ファンドで、投資のカモが多数製造されている

グローバル・ロボティクス株式ファンドという名称、どこかで聞いたことあるなと思ったら、ロボット・テクノロジー関連株ファンド(愛称:ロボテック)の評価をしたことがあったんですね。ああ、またぞろ似たようなのが出てきたなと言うのが第一印象です。金融機関も、懲りないよね。


グローバル・ロボティクス株式ファンド


このところニュースや雑誌では人工知能やロボットの話題がもちきりで、急成長する分野として報道されています。そんな情報を日ごろから浴びている庶民からすると、ものすごい儲かる分野なんだと錯覚する事でしょう。

もちろん有望な分野である事は間違いないのですが、「儲かりそうだ」を前面に出した金融商品となれば、話は別です。 金融機関側の思惑を全力で盛り込んだ投資信託になる訳ですからね。本ページで紹介するグローバル・ロボティクス株式ファンドも、まさに大衆を狙い打ちにした代物でしょう。

グローバル・ロボティクス株式ファンド


詳細は後述しますが、人口知能、ロボット、IoTなど、何もしらない(特に)高齢者が喜びそうな文言を販売資料に散りばめている時点で、投資を知らないカモ向けに作られた投資信託の香りがプンプン漂います。さっそく、本当に投資価値があるのかチェックして参りましょう。

(2016年6月24日公開)

 

グローバル・ロボティクス株式ファンドの基本的情報

購入手数料:最大3.78%(税込)
信託報酬年1.9008%(税込)
信託財産留保額: なし
決算日:年1回(7月20日)
・信託期間:2025年7月22日 (設定日:2015年8月31日)
純資産総額:3,530億円(2016年6月時点)
運用会社:日興アセットマネジメント株式会社

手数料は、3.24%で購入できるのがSBI証券楽天証券フィデリティ証券になります。他は3.78%です。・・・というか、いまだかつてないレベルの猛烈な高コスト投信です。 (フィデリティ証券のみ、初回の手数料はゼロ円になります)

初年度に、なんと5.68%ものコストがかかります。コストについても後述しますが、こんなもんを売って既に3500億円集めた金融機関の面々、最高にハッピーでしょうね

いかにも儲かりそうな販売資料だが、じゃあ儲かったかどうか、何を見て判断するのか

グローバル・ロボティクス株式ファンドは、日本を含む世界各国のロボティクス関連企業の株式に投資します。投資地域としては、日本とアメリカで7割近くを占めます。

グローバル・ロボティクス株式ファンドの組み入れ上位10か国


投資先は、産業・サービス用ロボットを製作する企業だけでなく、ロボット関連技術であるAI(人口知能)や、センサーなどの開発に携わる企業も投資対象になっています。

それは良いとして、世界的にブームになりつつある人口知能や、IoTなどのキーワードを積極的に活用したあたかも大儲けできるような感覚になる販売資料を見ていると、どうもキナ臭さを感じずにはいられません。

投資というのは、ひたすら冷徹な世界です。合理的な世界と表現しても良いかな。そこに、庶民に対して夢を売るような商品設計があったとしたら、まずはそこで一呼吸置いて、さらにその商品と距離を置いて、「冷静」にその商品が存在する「動機」を確認したほうが良いでしょう。

そうやって細心の注意を払いつつ当ファンドを見てみると、投資分野としては産業用ロボット、自動車の運転補助、医療補助や遠隔操作をするロボットなど、確かに将来的に需要が増えそうな感じには思えてきます。

グローバル・ロボティクス株式ファンドの販売資料


ところが、そんな「雰囲気」に騙されてはなりません。アクティブ運用なのにベンチマークを設定していない時点で、現在も今後も、投資家は投資判断ができません。投資判断のできない投資信託を買う事は、果たして合理的なのでしょうか?

⇒参考:ベンチマークや参考指数が無い投資信託に、投資価値無し


世界中の企業から500銘柄ほどを選定して、最終的には25~60銘柄に絞り込むと明記されているのですが、本当に良好なパフォーマンスを出せるのか疑問になりますね。

これまでにも、似たような事を言っておきながら、ほとんどの投資信託が残念なパフォーマンスだったので、運用の目標すら示さないファンドは信用できないのです。

さらに、保有する銘柄の規模を見てみると、超大型・大型株で全体の8割を占めるようです。多数の超有名企業で構成されると思いますから、平凡な成績になるとしか思えないです。

グローバル・ロボティクス株式ファンドの規模別構成比率


当ファンドは世界の株式の中から、ロボティクス関連銘柄に集中投資する形の「テーマ型ファンド」になる訳ですが、ベンチマークが存在しないので、試しに全世界の株式の値動きを示すMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込、円ベース)と比較したチャートをご覧ください。

グローバル・ロボティクス株式ファンドをMSCIオールカントリーワールドインデックスと比較


設立後1年の経過を見ると、今のところは全世界の株式よりも下落が抑えられてるようです。ただし、初年度に4%近い手数料を支払った上に毎年2%の信託報酬によって、価格の下落圧力がかかり続ける訳です。投資の世界の一般常識から考えて、かなりの不利な戦いになる事は間違いありません

しかも、テーマ型ファンドは一時的に人気が高まって良好なパフォーマンスを出すかもしれませんが、ブームが終わった後は、想像以上の下落が発生する可能性もあります。

そのときに、相場の状況を見ながら順次飛び降りる(当ファンドから撤収する)事ができれば良いのですが、そんな芸当は出来ない人が大半でしょう。だったら元から手を出すべきではありません。

なお、運用成績がここ2年ほどずば抜けて良かったテーマ型投資信託、グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(愛称:健次)のその後の値動きをご覧いただいて、テーマ型投信に手を出すことの難しさを感じて頂ければと思います。

ついでに言うと、今までロクスッポ、投資の勉強をしたことが無い人に限って、このようなファンドに手を出す傾向があります。これって今までテスト勉強をしたことが無い人が、次のテストは「ここが出る!」と言って山を張るようなものです。

シンプルに世界株式に分散投資した方が、総合的にはお得だぜ

長期投資の基本を考えると、テーマ型のような投資信託を利用せずに、シンプルに世界の株式に分散投資する事をおススメします。

前述のMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する海外ETF、iシェアーズ MSCI ACWI ETFを利用すれば、少なくとも投資のリターンを常に下げる方向に作用するコストの問題は完全に解決です。参考に、コストを比較した下記の一覧表をご覧ください。

カテゴリ ETFなどの名称 購入手数料 信託報酬
高コスト投資信託 グローバル・ロボティクス株式ファンド 3.24% 1.9008%
海外ETF iシェアーズ MSCI ACWI ETF 0.234%  ※ 0.3672%
(数字は税込みです)
マネックス証券で、100万投資時の手数料2340円換算の手数料率です。(最大取引手数料20ドル。117ドル/円レート)


ここまでコストに差があると、投資金額によっては、かなりの差が生まれる事になりますよ。具体的に計算してみた結果をご覧ください。


●100万円投資の時のコスト差
ファンド 5年間保有のトータルコスト 10年間保有のトータルコスト
ロボティクス株式ファンド 12万7,440円 22万2,480円
海外ETF 2万700円 3万9,060円
ETFとのコスト差 10万6,740円 18万3,420円


●300万円投資の時のコスト差
ファンド 5年間保有のトータルコスト 10年間保有のトータルコスト
ロボティクス株式ファンド 38万2,320円 66万7,440円
海外ETF 5万7,420円 11万2,500円
ETFとのコスト差 32万4,900円 55万4,940円


●500万円投資の時のコスト差
ファンド 5年間保有のトータルコスト 10年間保有のトータルコスト
ロボティクス株式ファンド 63万7,200円 111万2,400円
海外ETF 9万4,140円 18万5,940円
ETFとのコスト差 54万3,060円 92万6,460円


仮に500万円の投資資金を10年間運用した場合では、コストだけで100万円近い差が発生する事になります。これを運用で取り返そうとすると、ありえないくらい大変な事なんですよ。

そんな無理をせずに、シンプルで超低コストな金融商品を利用するだけで、100万円もの多額の資金を節約できることになるのです。

投資は未来を予測するものですが、ほとんどぜんぶ(に近い人)は、そんな事はできません。不可能とも言って良いでしょう。それに対して金融機関に支払うコストは、意識すれば絶対確実に削減することができます。

金融機関はどうしてグローバル・ロボティクス株式ファンドのように、美しい販売資料を作り上げて、あなたを儲かりそうな世界に誘惑するのでしょうか?

実はそれは、あなたが儲かるのではなくて、金融機関が儲かるからなのですね。上記で比較した通りの、びっくりするくらい多額のコスト差が、金融機関の利益になる訳です。

将来の投資成績は分かりませんが、あなたにグローバル・ロボティクス株式ファンドを売りつけることで、金融機関は絶対確実な利益を手にすることが出来るのです。

ま、こういう「構造」を知れば、どうしてもこのファンドを買いたいと思ったとしても、ごくわずかな金額にとどめておくのが賢明でしょう。





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