米国債を利付債とゼロクーポン債で運用した場合のシミュレーション

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大学の教育費を米国債(10年債)の利付債あるいはゼロクーポン債で運用してみたい

ここでは、ETFや投資について、お気軽に質問できます。投資初心者の方~中級程度の方を対象とさせていただきまして、ご質問をお受けいたします。

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頂いたご質問

2018年10月:増田エースさま(男性、40代)

お世話になります。当方40代中盤のサラリーマンです。米国債(利付債)に関して質問させて下さい。

子どもが3人おり、今春、長男が大学に進学したのですが、教育費の高さに家計の負担が大きく、月次で赤字になることもしばしばあります。そこで、次男と長女についてはなにか対策をしなければと考えており、現在の無リスク資産一辺倒から脱却するつもりです。




現状分析です。世帯収入800万円、自宅(無担保)あり、純金融資産 7000万円(個人向け国債変動10年)、次男が大学に進学する予定の四年後に向けて、個人向け国債を10万ドルずつ米国債10年(利付)ものに変更して、毎年一回購入していき、その利息を学費に充当したいと考えております。

最終的にはこれから六年間かけて、米国債を60万ドルにしたいと考えております。長女が大学卒業するまでの10年間、利息が下支えになりそうです。

気になる点は、利付債が複利効果があるゼロクーポン債と比較して不利ではないか?という点、利払い時に税金が引かれてしまう点、金利が為替に負ける可能性についてです。この戦略についての有効性をご検討下さいますと幸いです。宜しくお願い致します。



円高に振れるか円安になるかは神のみぞ知る世界だが、戦略としてはアリ

増田エース様、当サイトへのご質問ありがとうございます。大学に進学されるお子様の教育費の捻出は、本当に大変だと思います。当サイトでの検討結果が、エース様の参考になれば幸いです。

エース様の世帯年収と純金融資産の水準であれば、積極的に攻める必要などなく、ご提案のような安全な運用で十分だと考えます。非常に素晴らしい状況だと思います。

とは言え、個人向け国債変動10年の金利は、現時点でたったの0.09%です。これでは7000万円を投資しても、受け取れる利息などたかが知れています。魅力ある金利の米国債券への投資を検討する気持ちは、よく理解できます。しかも金利上昇局面に差し掛かり、米国債の10年利回りも3%を超えてきており、当サイト管理人も、非常に魅力があると感じています。

さて、定期的な収益が欲しい時は米国債10年物の利付債に投資をして、将来の収益を期待する時は複利効果の出るゼロクーポン債をチョイスするのがセオリーだと思います。今回は教育資金の捻出ですので、定期的な収益が期待できる利付債を検討する事は妥当だと思います。

しかしご指摘の通り、複利効果のあるゼロクーポン債に比べると、利付債は不利です。更に、急激な円高になってしまうと、利付債、ゼロクーポン債ともに利金が為替に負けて損する状況に陥ります。これらの詳細を解説します。

利付債とゼロクーポン債・・・為替一定ならゼロクーポン債が有利

同一投資額であれば、複利効果のあるゼロクーポン債が有利となります。ゼロクーポン債と利付債の受け取り利金については、以下のHIS証券の紹介ページがわかりやすいです。

HIS証券のウェブサイト


ゼロクーポン債は、少々考え方が複雑です。したがって、以下のように単純化して比較してみます。

・利付債の利率10%、クーポン債の複利利回り10%
・利付債は年1回利金受け取り
・期間は共に満期10年
・投資金額100万円




100万円の投資額で仮定すると、利付債の税引前トータル利金が100万円、ゼロクーポン債の税引前トータル利金は、159万円となります。従って、複利運用されるクーポン債が有利となりますね。

もう少し具体的に、増田エース様の投資条件で比べてみましょうか。以下の詳細条件で受け取り利金をシミュレーションしてみました。

・利付債の利率2.5%、ゼロクーポン債の複利利回り2.5%
・期間は共に満期10年
・投資金額1100万円(10万ドル)
・購入時の為替レートは、110米ドル/円
・利金の米ドルでの受け取り時に、20%課税



まずは、利付債のシミュレーションをしてみます。1年目から10年目まで、毎年一定の利金収入があります。




10年後の投資結果は、以下のようになります。

項目 金額(単位:円)
利子の合計(税引き後) 2,200,000
投資元本の返金 11,000,000
利子(税引き後)+投資元本 13,200,000
トータルの利益 2,200,000


続いて、ゼロクーポン債です。




10年後の投資結果は、以下のようになります。

項目 金額(単位:円)
利子の合計(税引き後) 2,464,744
投資元本の返金 11,000,000
利子(税引き後)+投資元本 13,464,744
トータルの利益 2,464,744


以上より、仮に為替が変わらなかった場合であれば、10年の投資結果はゼロクーポン債が有利です。その差は、約1100万円の投下資金に対して26万円ほどになります。

徐々に円高になれば、利付債、ゼロクーポン債ともに利金が為替に負ける

続いて、購入時より為替が円高になった場合のシミュレーションをしてみました。前の項の条件との違いは、為替が毎年2円ずつ円高に振れている点です。 まずは利付債から見てみます。




なんと、10年間投資しての利益がたったの10万円にまで減少してしまいます。これだったら個人向け国債にでも置いておく方がはるかに良いという結果です。為替は怖いですね。

項目 金額(単位:円)
利子の合計(税引き後) 2,000,000
投資元本の返金 9,100,000
利子(税引き後)+投資元本 11,100,000
トータルの利益 100,000


ゼロクーポン債でも見てみます。




こちらもトータルの利益は著しく減って、金額的には利付債でもゼロクーポン債でも似たようなものだなとしか思えない結果になってしまいました。

項目 金額(単位:円)
利子の合計(税引き後) 2,039,015
投資元本の返金 9,100,000
利子(税引き後)+投資元本 11,139,015
トータルの利益 139,015

金融ショックが発生して急激な円高になれば、利付債、ゼロクーポン債ともに大損する

前項のシミュレーションでは、じわじわと右肩下がりになる円高を想定しました。続いて、いちおう教育費ですから、最悪の事態も考慮した試算もしておきました。

5年後に金融市場にショックが襲って一気に為替が80円に触れて、その後の5年間は大不況によってそのままの円高が継続してしまった場合のシミュレーション結果をご覧ください。最初の5年間は、1ドル110円で計算しています。 例によって、利付債から。




金融危機で急激な円高になった場合、投資元本の払い戻しの際に為替で300万円もの猛烈な損失が発生してしまい、最終的なトータルの利益では、100万円以上の損失となってしまいました。

項目 金額(単位:円)
利子の合計(税引き後) 1,900,000
投資元本の返金 8,000,000
利子(税引き後)+投資元本 9,900,000
トータルの利益 -1,100,000


ゼロクーポン債でも、同じようにチェックしてみます。




複利効果が働くはずのゼロクーポン債では、有事が発生した時のダメージは、定期的に利金が支払われる利付債よりも甚大である事が分かります。せっかくの複利効果なども、金融ショックの前には全くの無力になりますね。

項目 金額(単位:円)
利子の合計(税引き後) 1,792,541
投資元本の返金 8,000,000
利子(税引き後)+投資元本 9,792,541
トータルの利益 -1,207,459


このように、米国債券を利用する際には、為替レートがポイントになります。購入時点より為替が円高になった場合は、元本が満額のドルで返金されても、日本円に戻した際に為替で損失を被るからです。

シミュレーションでは円高方向に為替が触れる事だけを想定しておりますが、同じ確率で円安方向に振れる可能性もある訳で、将来の相場はどうなるか分からないので、気になるようであれば、利付債とゼロクーポン債、更には日本の国債を適度に分散させて購入すれば良いのではないかと思います。

また、投資する時期も一括で6000万円を投じるのではなく、年に1度、1000万円ずつ投資する事で、時期の分散を図る事は非常に良い事だと考えます。




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